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第二話 歪みもの編
はーい、二回目です。好き勝手に書かせて頂いておりますが、よろしくお願い致します。いきなりですけれどエレキ・ギターの世界って誕生して半世紀以上の間、あまり根本的なところは変わっていませんよね。何でも変われば良いとは言いませんが、世界で一番売られているであろうキブソンやフェンダーのエレキ、相変わらず主流はレスポールやストラトです。アンプなんか、デジタル・モデリングタイプも脚光を浴びてきましたが、まだまだ主役は真空管アンプです。何から何までデジタル化された世の中にあって、これだけレトロな世界も珍しいですよね。
 話は逸れますが家庭用のアナログ回線の電話機、最近こそISDNの普及で姿を消すのも時間の問題ですけれど、あれもまさに20世紀の遺物ですね。あの頼りないモジュラー・コードを見ると悲しくなります。多分、エレキ・ギターは地球上、最後のアナログ製品になるのでは?! 確かにデジタル抜きで現代の音楽を語ることは出来ません。これから続々とヴィンテージ・アナログ機材のサウンドをリアルにシュミレートしたデジタル・モデラーが出現するでしょう。そのサウンドは限り無く本物に肉迫してくると思いますが、本物のアナログ機材の持つ暖かみや雰囲気などは表現出来ない気がします。数値的なところでいくら同等になったとしても、必ず満足出来るとは思えません。多分、音楽って感覚の上で成り立っているのだし、かなり個人の嗜好が反映された一種独特な世界だからではないでしょうか。
さて本題に入ります。歪みについて考えてみましょう。一般にアンプとギターで得られ歪みをオーバードライブ・サウンドといいます。アンプのボリュームを最大付近にして過剰負荷状態にして出します。少し歴史の上から考えてみるとオーバードライブ・サウンドの起源は諸説あり自分もはっきりしたところは知りませんが、決定的だったのはブルース・ブレーカーズでのエリック・クラプトンのサウンドです。レスポールとマーシャルJTM-45コンボで出したオーバードライブ・サウンドは衝撃的で多くのギタリストが追従しました。
 ところが当時のギター(フェンダーのテレキャスター等)のピックアップはパワーの低いシングルコイルが多く、アンプもマーシャルほど歪まないフェンダー等が多かったので同じような歪みを得ることは出来ませんでした。そこで出てきたのがブースターです。ギター出力のゲインを上げて、アンプの負荷を重くして歪みの少ないクリーンなアンプを強引にオーバードライブさせるのです。また、更に過激な歪みを求める人達は、歪みやすいマーシャル等と併用しました。
 第3期ディープ・パープルのリッチー・ブラックモアは、マーシャルの生みの親であるジム・マーシャル自らがパワーアップしたマーシャル・アンプと併用していたらしいし、クイーンのブライアン・メイは、ハンドメイドのトレブル・ブースターをヴォックス・アンプと併用していました。
 また60年代後半になるとアンプに頼らず歪みを作り出すファズ・ユニットが登場します。ファズを使えば、アンプのオーバードライブとは比べものにならない深い歪みが出せ、驚異的なロング・サスティンが得られました。時代により増幅素子にゲルマニューム・トランジスタやシリコン・ダイオードなどを使ったものがあります。
 代表的なものにエレクトロ・ハーモニクス(通称エレハモ)のBIG MUFFやダラス・アビターのFUZZ FACE、カラー・サウンドやヴォックスのTONE BENDER等があります。とにかくハイ・ゲインで音の粒だちが荒く、バリバリした感じが特徴です。コードを弾いても各弦の分離が悪く、音の塊になってしまうものもありました。特に初期のゲルマニューム・トランジスタ使用のものは音の粒だちが荒いようです。アンプをオーバードライブさせた感じとは全く次元の違う音でしたが、ファズは多くのミュージシャンに歓迎されました。今や伝説となったギタリスト、ジミ・ヘンドリックスのサウンドは、ファズ無しでは語れません。かのジェフ・ベックやツェッペリンのジミー・ペイジだって、マーシャルのナチュラル・オーバードライブとファズ・サウンドを使い分けていました。
 名実ともにディストーション・ユニットが本格的になるのはMXRのDistortion +が現れてからです。従来にないコンパクトでしかも頑丈なダイキャスト製のケース、飛躍的に伸びた電池寿命など、MXRらしい素晴らしい製品でした。が、それ以上に驚いたのはそのサウンドでした。これまでのどのディストーション・ユニットよりも、アンプのオーバードライブ・サウンドに肉薄していたのです。ドライブとレベルだけのシンプルなコントロールはアンプやギターの種類を選ばず、ピッキング・ニュアンスの出しやすいサウンドは、最初ロック・ミュージシャンよりも、どちらかといえばフュージョン系のミュージシャンに歓迎されました。かなり強い歪みも得られましたが、ギターのボリュームを絞るとかなりウォームかつエッジの立ったディストーションも得られました。悲劇のギタリスト、ランディ・ローズはこのDistortion+を愛用していました。
 さてサウンド的に画期的だったDistortion+のライバルはボスから登場しました。オーバードライブOD-1です。ジェフ・ベックがステージで使用して”マーシャル・サウンドのようだ”などと絶賛、現在のオーバードライブ・ユニットの元祖の誕生です。しかし Distortion+ に慣れたミュージシャンにはOD-1の音は多少物足りない感じがあり、この頃からハードな歪みの「ディストーション」とあくまで柔らかな「オーバードライブ」という具合に、同じ歪み系エフェクターでも、サウンドの違いにより分けられるようになりました。現在はアナログ方式に加え、デジタル方式のハイブリットなものも出現し、多くのメーカーが新規参入して市場を賑わせています。また、真空管アンプのプリアンプ部をそのまま取り出したようなチューブ方式もいくつかあり、そのウォームでマイルドな味わいも魅力です。
 最後にブースター、ファズ、ディストーション、オーバードライブの代表的なものをいくつかピックアップしておきましょう。
1. ブースター:ヴォックス TREBLE-BASS BOOSTER、エレハモ LPB-1 etc
2. ファズ:エレハモ BIG MUFF、ダラス・アビター FUZZ FACE、ヴォックス Tone Bender etc
3. ディストーション:MXR Distortion+、プロコ RAT、マーシャル The Guv'nor、ボス DS-1 etc
4. オーバードライブ:ボス OD-1、アイバニーズ TS-9、DOD 250、チューブ・ワークス TUBE DRIVER etc
 現在、マルチ・エフェクターやデジタル・モデラーなどが全盛ですが、今回はコンパクト・エフェクターに絞って話を進めさせていただきました。自分にとってコンパクト・エフェクターは、とても単純なのですがとても奥が深く興味が尽きない、また頭を悩ませる代物です。色々な機種が数多く出ていますので、自分に合ったものを探すのは容易ではありません。自分の出したいサウンドのイメージはあると思いますが、実際は使用しているギターやアンプとの相性もありますからそう簡単ではありません。同じボスのOD-1を使っても、アンプがマーシャルの場合とJCの場合では、出てくるサウンドは全く別ものです。自分も今まで長年、色々試してるうちに数多くの歪みものを所有する羽目になりました。
 基本的に自分は、アンプの歪みが好みです。マーシャルをブースターでフル・ドライブした時のサウンドが大好きなのです。お気に入りは、MXRのmicro ampです。これをブースターとして使っています。たいていのブースターは、オンにすると音色が変わったり、つまみの位置がゼロなのにゲインが上がったりして使いにくいのですが、micro ampは音色も変わらず、つまみがゼロの位置で原音がそのまま出力されるのです。そこから徐々につまみを上げるに従って、好みのゲインを得ることが出来るのです。しかし、いつも自分のアンプが使えるとは限りません。もし、JCしか無かったら… なんて考えると、代わりになるディストーションやオーバードライブが欲しくなります。突き詰めると難しいですよね。妥協も必要かな?でも、あれこれ悩むのも楽しいものです(おたくの世界!笑)。
エレクトロ・ハーモニクス LPB-1、ヴォックス TREBLE-BASS BOOSTER   エレクトロ・ハーモニクス BIG MUFF、ヴォックス Tone Bender、ロジャー・メイヤー CLASSIC FUZZ
エレクトロ・ハーモニクス LPB-1、
ヴォックス TREBLE-BASS BOOSTER
  エレクトロ・ハーモニクス BIG MUFF、
ヴォックス Tone Bender、
ロジャー・メイヤー CLASSIC FUZZ
     
MXR Distortion+(復刻)、マーシャル The Guv'nor、ボス DS-1   ボス OD-1
MXR Distortion+(復刻)、
マーシャル The Guv'nor、ボス DS-1
  ボス OD-1
     
アイバニーズ TS-808   アイバニーズ TS-9
アイバニーズ TS-808   アイバニーズ TS-9
     
MXR micro amp    
MXR micro amp    
     

今回も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。ものぐさなので、更新が遅くて申し訳ございません。次回はアンプについて語らせて頂きたく思いますので、よろしくお願い致します。
 私事ですが、モーターヘッドを観てきました。始まりと同時にダイブの嵐!マーシャルの壁!トリオとは思えない分厚い音に驚愕しました。レミーのパワフルな歪んだベース・トーンが耳に残っています。うまいビールが飲めました。MAK:mak@tcgakki.com まで
 

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