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| 序章 | ピックアップの種類 |
| 第一章 | メーカー別製品リスト |
| 第二章 | 現場の声 |
お蔭様で大好評の本特集。この企画に対する、かなりのアクセス数からも、ユーザーの方などの興味の程を窺い知ることが出来ます。
さて、三回目となる「第二章」では、これまでとはちょっと趣向を変えまして、リアルな現場の声をお届け致します。
アコギ用ピックアップを販売・製作する側、取り付けるリペアマン側、実際に使用しているユーザー側・・・とても気になる各方面の率直な意見を耳にすることで、答えが見えにくいアコギ用PUの要点に近づければと思った次第です。
販売・製作する側には'96年創業以来、プロ&アマに拘らず、アコギに関するエキスパートとして活躍され、アコギ用PU『Highlander』の代理店としても知られる『Acoustic Guitar Pro Shop - Birdland』の代表である小貫 悟さん。リペアマン側には『Ovation』の代理店として有名な『中尾貿易』で長年リペア&調整担当として勤務、現在は自身の工房を構えるベテラン・リペアマン皆川隆行さんのインタビューをメインに掲載。そしてユーザー側として、当店のお客様の貴重なご意見を公表します。
それでは本編をお楽しみ下さい。
'96年の創業以来、アコースティック・ギター全般のプロ・ショップとしてサービスを展開する『Acoustic Guitar Pro Shop - Birdland』の代表 小貫 悟さん。アコギ用ピックアップの代表ブランドのひとつである『Highlander』を始め、純国産ギター『Tears Guitar』や独自で開発したOBP(Birdland On Board Piezo Pickup)を販売、アコギ・シーンのエキスパートとして活躍されている人物だ。
小貫さんとこれまでメール等でやりとりさせて頂いている中で、個人のお客様やプロ・ミュージシャンからアコギ用のPUに関しての相談が急増していることを知り、その辺の詳しい状況を伺うと同時に、実際にPUを販売・製造されている現場側の率直なご意見をお訊きするため、豊島区に会社を構える『Birdland』の小貫さんを訪ねた。
田部(以下T):『Birdland』さんでは『Highlander』ピックアップ(以下PU)や数多くのアコギを取り扱っていますが、これまでの経緯を簡単に教えて下さい。
小貫さん(以下O):以前勤めていた会社から引き継いだのが『Highlander』とカナダ製のカールトン・ケースだったんですね。その頃は『VG』とタイアップしていて徐々に『Highlander』が広まりつつありましたけど、時が経つにつれて他のPU付きの『VG』が多く出回ってきたんです。やはり『Highlander』の音を実際に聴いて貰って、その良さを実感して欲しいという気持ちが強かったんで、いっそのこと『Highlander』付きのギターを自分で手掛けてみようと思いました。まずはスペイン製のクラシック・ギターから始めまして、ラインで出したいという方はエレキからの人も多いんじゃないかという理由で薄胴ボディのギターにPUを仕込んだんですよ。その頃は個人的にはクラシック・ギターに関してあまり知識がなかったんで、音の善し悪しで突っ込まれるとキツイなぁ〜って思ってたんですが(笑)、それがかなり好評で。だったらより多くの方に使って貰おうと思い、レギュラー・サイズのクラシック・ギターにも仕込んでみたところ、さらに好評で・・・多くのプロ・ミュージシャンの方に愛用して頂けるようになりました。
その後、『Tears Guitar』とのタイアップの話がありまして、実際にPUを乗せたところ、これが実に素晴らしかったんですね。純国産の優れたギターと『Highlander』の最高の組み合わせをプロの方にも使って貰いたいということで、杉山清貴さんや大野真澄さん(ガロ)に試して頂いたところ、かなり気に入って貰えまして。杉山さんに至っては現在では「ソロでも、バンドでも手放せない一本です」と仰る程、惚れ込んでいます。大野さんもメインで使って頂いてますし、彼はSantastic(Internal Mic Matched Preamp)も愛用しています。大野さんは現在、伊勢正三さんと太田裕美さんの三人のユニットでツアーを廻っていますが、Santasticに合うようなPAセッティングでライヴを行っているんですよ。
T:オリジナルPUのOBPを製造・販売されてますが、何故それを開発しようと思ったのでしょうか?
O:最近ではインブリッジ・タイプとマグネティック・タイプというように2種類のPUを混ぜて使う方法も増えてきているじゃないですか。インブリッジの場合は中高域の音がメインですから、それに対して如何に中低域の音を出すかというように。
インブリッジは音が埋もれず、輪郭がハッキリしているところがありますから、もう少し生っぽい音が欲しいなっていう時に・・・私はコンデンサー・マイクもお勧めしてますが、コンデンサーはハウリングという問題が付いて回るんで、それに変わるものとして性能の良い貼り付けタイプを独自で作ろうと思ったわけです。
T:OBP開発にあたっての苦労した点は何でしょう?
O:セラミックの圧電素子はどうしても高域特性だけのキンキンとした堅めの音になってしまうので、それをどう解消しようかというところで悩みましたね。そこで考え出したのが木のチップです。楽器とセラミックの間にマホガニー材やエボニー材のチップをかますことによって、高域特性からもう少し中域寄りのサウンドになるですよ。取り付ける位置にもよりまして、ブリッジ真下だとカチっとしたタイトな音になるんですが、それを少しずらすことによってもう少しフワっとした柔らかい音になります。
T:ここのところ、個人のお客様やプロ・ミュージシャンからアコギ用のPUに関しての相談が増えており、"アコギ用PUの駆け込寺"化(笑)しているとお訊きしましたが、その辺りの現状をもう少し詳しく教えて頂けますか?
O:今現在使っているPUの不満や、もう少しこういう音が欲しい、2ピックアップ・システムにしたいが電源供給はどうしたら良いか・・・持っているギターの特性を考えながらどのようなPUを勧めるか・・・ユーザーやミュージシャンの方と考えながら悪戦苦闘している状況です。
T:具体的にはどのような相談が多いですか?
O:例えば「今付いているのがパッシヴのインブリッジなんですが、何か音がモワっとしてしているんで、もう少し堅い音が欲しい」というお悩みに対しては、そのインブリッジに追加してステレオ出力でOBPを付けました。インブリッジはもともと堅めの音ですが、パッシヴだとパワー不足なので、高域が多少ぼやけます。そこで、OBPをタイトな位置に取り付けることで高音をカヴァーしました。結果的に非常にバランスの良い音になりましたね。
でも、もっと大変なのがアクティヴ系です。アクティヴPUに何か増やしたいという相談を受けることがあるんですが、パッシヴ系のものだったらすぐに対応出来ますが、同じアクティヴ系だと厄介なんです。今使っている電池を流用するには電圧などの問題が絡んでくるんですよね。あと、ステレオ・アウトなのにミックスで出力したいという相談も受けますが、これも厄介で。(苦笑) 同じパッシヴでしたらプラグで繋げてしまえばミックス出来るんですが、そうすると音のバランスが取れないんで、その間にヴォリューム・コントロールを増設して、上手く音を足していくみたいな方法になりますね。かなり強引ですけど。(笑)
T:音色以外にも電気系統の問題がありますので、その大変さが伺えます。
O:そうですね〜。(苦笑) 両方アクティヴで同じメーカーのものであればインピーダンスもわりと近いんでミックス出力も可能ですが、アクティヴとパッシヴではなかなか難しいんですよ。マッチングがしっかりしていないと。
T:音色に関してもギターとの相性とかもありますから、一概にどのPUが良いのかというのが難しいですよね。
O:今付いているPUの音の傾向を教えて貰えれば、「このPUを足してみましょう」というように、こちらとしても色々なアイディアを出しやすいですね。インブリッジと貼り付けとコンデンサーを駆使して、出来る限りお客様の要望に応えようと頑張っています。
T:そういえばGibsonのアジャスタブル・サドル用PUを作られたと伺いましたが?
O:そうなんですよ。Gibson J-45のアジャスタブル・サドル仕様に『Highlander』をマウントしたいという相談があったんですが、これが実に工房泣かせの要望でして。(苦笑) オリジナルのアジャスタブル・サドルを元に戻すこともあるので、極力、現状のままでの加工がご希望だったんです。そこで試行錯誤の末に完成したのが、この特製の象牙製サドルと着脱可能なインストール・ガイドです。インブリッジなのでさすがにアジャスタブル機能はありませんが、インストール・ガイドとJ-45タイプの象牙製サドルを如何に確実に密着させて、なおかつ均等に圧力が加えられるか・・・を考えに考え抜いて作りました。オール・ハンドメイドの苦心作です。(笑)
T:何だか凄いですね。(笑) 是非とも商品化を望みます。さて、アコギ用PUとは切り離せないもののひとつにアンプというものがありますが、『Birdland』さんではアコギ用アンプとして『AER』のBingoを販売されていますよね。その他にアコギに適したアンプがありましたら簡単に教えて下さい。
O:『ULTRA SOUND』DS4がお勧めです。
ここで小貫さんが『ULTRA SOUND』DS4と『AER』Bingoを倉庫から持ってきて下さる。そして『Highlander』HP-2とOBPを搭載した『Tears Guitar』で実際に試してみる。
T:・・・おおっ! 音がもの凄くクリアですね。レンジが広く、レスポンスも素晴らしい。
O:DS4はアメリカの『Acoustic Guitar Magazine』のアコギ用アンプ部門でゴールドを受賞したんですよ。そしてBingoはシルヴァー賞でした。DS4はとてもクリアでナチュラルなサウンドですので、ジャズ系の方にもお勧めです。アンディ・マッキーやダック・ベーカーも愛用のアンプでもあるんですよ。
T:著名ミュージシャンに愛用されてる意味が分かりますね。
O:これからさらに人気が上がるアンプだと思いますよ。
T:最後になりますが、小貫さんが『Highlander』に惚れ込んでいるところは何ですか?
O:20年弱というこの世界では長い歴史を持つPUメーカーで、その頃から海外の著名ミュージシャンに愛用されていたことが、まずは大きな魅力ですね。当時は良いPUっていうものはなかなか無かったじゃないですか。その中で確固とした人気を博していましたからね。それから何と言っても惹かれるところは、そのクオリティ。もともと開発した人はPAのエンジニアで、自分でも卓を作っちゃうような人なんですよ。最良なパーツとノイズの少ないA級動作を駆使して作られていますので、非常に高品質なんです。一体型のプリアンプで中を開けることは出来ないんですけど、これまで修理や故障が殆ど無いというのも凄いところです。
T:『Highlander』は取り付けが難しいという意見も耳にしますが。
O:そうですね、取り付け作業には熟練を擁するんです。円柱形のピエゾの中に入っている素材はゴム質のもので、それを上手く使って柔らかい音にしています。ごく初期の頃はサドル下にポンっと敷いて、音が弱いところはサドルに木を張ったり工夫してやっていたんですが、円柱形なのでどうしても弱い音の部分が出てしまいました。そこで編み出したのが、ブリッジのサドルの溝の底面をU時に切るという方法でした。そこにサドルをちょっとハミ出るくらいに嵌め込んで、上からグッとサドルを押し付けると、素材が柔らかいですからピタッと平らな面になるんですね。このインストールの方法でブリッジからの音をかなり拾うようになったんで、そのギターの持ち味を十二分に発揮出来るんじゃないでしょうか。ただ、やはりブリッジの溝切りやジャックのネジ込みなど、取り付け作業は簡単ではありませんので、そんな時はいつでもご相談下さい。在駐リペアマンが一日で即セッティングします。
『Acoustic Guitar Pro Shop Birdland』代表 小貫 悟さん
'96年の創業以来、アコースティック・ギター全般のプロ・ショップとして小売店様やユーザーの皆様にサービスを展開。アコースティック・ギター本体を始めとするハードはもちろんのこと、ソフトとしてA.M.R.(アコースティック・ミュージック・レコーズ)商品をはじめ、アメリカ『メルベイ』社の商品まで幅広く取り扱う。また、『Highlander』ピックアップの組込みを始め、アコースティック・ギターの修理&メンテナンス部門を開設。専門のスタッフがギターのコンデションやプレイ・スタイルまでアコースティック・ギター全般の相談に乗ってくれる心強いプロ・ショップだ。
『Ovation』の代理店として有名な『中尾貿易』で長年リペア&調整担当として勤務、現在は自身の工房を構えるベテラン・リペアマンの皆川隆行さん。飽くまでも"お客様主導主義"に拘る良心的かつ丁寧な仕事ぶりには、プロ&アマ問わず多くのユーザーからの定評を得ている。
皆川さんと当店は5〜6年程お付き合いさせて頂いており、迅速で確実なリペアには本当に驚かされるばかり。このところ急増しているピックアップ取り付けの殆どは皆川さんにお願いしているが、取り付け後のライン・サウンドの優れたバランスに感動することもしばしば。そんな微妙で繊細な作業でもあるPU取り付けを実際に行っているリペアマン側からの意見をお訊きしたく、足立区に工房を構える『皆川ギター工房』の皆川さんを訪ねた。
田部(以下T):現在、修理の依頼でピックアップ(以下PU)取り付けの需要はどんなものでしょうか?
皆川さん(以下M):そうですね〜・・・PU取り付けの依頼が急に増えたという印象はなくて、コンスタントに頼まれるといった感じですね。
T:それは全体の何割くらいですか?
M:これから増える可能性はありますけど、今のところ全体の2割程度でしょうか。
T:具体的にどのような相談を受けるのでしょう?
M:結構、お客さんの方が勉強しているので「このPUを付けて下さい」という場合が多いですね。だから今のところ相談という相談はあまりないんです。PUについては僕の知ってる限りはお話しますけど、お客さん自身が選んだ物を試して貰うのが一番良いと思うんですよ。「これが良いです」って僕が勧めた物を実際に付けたら、その音がお客さんの好みじゃなかった場合、「あ〜やっぱり自分が考えてた物にすれば良かった」なんてことにもなりかねないですからね。取り敢えず、お客さんが付けたいと思ってる物が決まってるんであれば、それを付けるのが一番です。
T:当店ではこれまでに皆川さんにPUの取り付け依頼を何度かお願いしてますが、お客さんからUPの指定がない場合は『L.R.Baggs』のelementを勧められますよね。それは何故でしょう?
M:elementはセッティングがいつも上手くいくんですよ。バシッと決まるんですよね。
T:先日、お客さんから依頼を受けたGibson Dove Custom Shopもelementを乗せましたが凄く良かったです。お客さんも大喜びでした。
M:それは良かった。嬉しいですね。『L.R.Baggs』と『Fishman』は僕の印象ではパフォーマンスは大体同じくらいだと感じていて、両者ともにセッティングが上手くいく。ただ、どちらかというと『L.R.Baggs』の方が印象が良いんですよ。
T:それはUPの内部構造ということが絡んでいるんですか?
M:ん〜何でしょう、僕との相性が良いのかも知れませんですね。(笑) とてもやりやすいんですよ。その他に『Highlander』も凄く良いPUだと思うんですが、内部構造という点でとても取り付けに苦労するんですよね。(苦笑)・・・きゅ〜〜ぅぅぅ・・・・・・スミマセン、お腹が鳴っちゃって・・・・・・(苦笑)
ここで皆川さんのお腹が鳴る。取材させて頂いた時間は午後4時過ぎ。ちょうど小腹が空く頃だ。
T:いえいえ、大丈夫ですよ(笑)
M:きゅ〜〜ぅぅぅ・・・・・・ホントうるさくてスミマセン・・・(苦笑)
T:(笑)バードランドさん(『Highlander』の代理店)でもお訊きしましたが、『Highlander』は取り付けが難しいみたいですね。
M:『Highlander』が付いているギターをウチでも預かるんですけど、きちんとセッティングがなされていないものが多いんですよ。『Highlander』はピエゾPU自体が円柱形になってますんで、それに合うようにブリッジの溝をU字に削らないといけないんです。ジャック部分もネジ込み式になっているんで、タップで切っていかないといけない。
T:それは大変な作業ですね。でも、『Highlander』は個人的にも好きなPUで。音痩せがなく、とてもダイレクトな感じが。
M:そう、良いっていう方は多いです。インブリッジ・タイプにコンデンサー・マイクを追加したタイプがあるんですが、それは評価が高いですね。
T:PUの取り付けで気を付けている点や苦労する点は何ですか?
M:まずは一生懸命ブリッジの溝を直してサドルを造ってUPのバランスを出す。これが最初の到達点なんですけど、そこから一番気を付けなくちゃいけないのが、お客さんの手元に行って弦を張り替えた時にバランスが狂わないようにすることですね。ウチに来るギターで良く見かけるんですけど、僕が弦を張り替えた際にPUのバランスが狂っちゃう時がある。
T:ピエゾとサドルの接点の問題ですね。
M:そうです。チューニングをした時にちょっとサドルを後に戻すようにしないとバランスが取れないなんてことも多々あります。リペアをやってる者だったら分かりますが、なかなか普通のお客さんではその辺の微妙な調整は難しいですからね。だから、サドルを造った人じゃなきゃその辺の調整が分からないようではお客さんは困るんですよ。
T:そうならないための工夫とは?
M:やはり最初から如何にブリッジの溝を精度良くするように作業を進めていくかに尽きますね。修理依頼のギターであまりにもPUのバランスが悪いものは一回ブリッジの溝を埋めて新しい溝を造っちゃうんです。溝の深さも、底のラインもきちんと形成して、"このサドルのスリットとして問題ない"という状態にしちゃうんですよ。一生懸命サドルを造ってUPを仕込んでも、サドルのスリットに問題があると全てのバランスが狂っちゃうんです。さっきも話に出たGibson Doveも、既存のサドルはとっておいて、新たにサドルを造り替えるという依頼でしたが、あれもきちんとブリッジの溝が形成されてなかったら、そうとう苦労して抜け出せない暗闇の中を彷徨うような結果になっていたかも知れません(笑)
T:皆川さん自身はインブリッジ、貼り付け、マグネティックのどのタイプのUPが良いとお考えですか?
M:個人的にはやはりサウンドホールにマイクを立てるのが一番ナチュラルで好きですが。(笑) これを言ってしまうと今回の主旨からズレてしまいますね。(笑) それ以外ですと、一番使い勝手が良いのはインブリッジ・タイプでしょうか。ノイズも少ないですし。
T:最近では『Sunrise』や『L.R.Baggs』のM1などのマグネティック・タイプを使うアーティストも多いようですが。
M:ギターにもよりますが、やはりお客さんがどういった音を欲しいのか・・・見た目にもよるでしょうし。マグネティック・タイプもハウリングが少なくて良いですけど、どうも音がエレキっぽくなるので、その辺で好みが分かれるでしょうね。
T:これまでたくさんの修理をされている中で、「このギターとこのPUの組み合わせは抜群だ」と思ったものはありますか? 例えば、Martin D-28だったらこのUP、Gibson J-45だったらこのUPみたいな。
M:ん〜、残念ながらこれまでに特にそういった具体例はありませんね。ちょっと質問の応えとは違いますが、Gibson J-45のアジャスタブル・サドル(AJ)に貼り付けタイプの『L.R.Baggs』のiBeamを付けたいっていう方が結構いらっしゃるんです。でも、AJだとボディ内部のブリッジ下にアンカーが伸びててiBeamを張るベストな位置を見つけるのが大変なんですよ。なので、色々な位置を試してみて「もうここしかない」っていう位置に付けるんですが、やはり音的にダメですね。(苦笑) PUのパフォーマンス不足になっちゃいます。質問の反対になっちゃいましたけど、J-45 AJとiBeamの組み合わせは良くないということで。(笑)
T:ところで皆川さんは第一号としてエレアコを造られたそうで。それには何のPUを付けているんですか?
M:(即答)『L.R.Baggs』のelementです。やはりセッティングしやすいんですよね。(笑)
T:そのエレアコを造るにあたって、ラインの音など、考えた点はありますか?
M:生音のイメージはあったんで、それに向かって造って行ったんですが、正直なところラインに関してはそれほど考えませんでした。ただ、ヴォリュームのツマミをどこに付けるかで悩みましたね(笑) サウンドホール脇に付けるのはちょっと詰まらないと思ったんで、考えた末、ボディ・サイドに付けました。
実際に皆川さんがそのエレアコを持ってきて下さる。
そして実際に弾いてみる。
じゃら〜〜〜ん〜〜
T:おおっ!! 良い音ですね!! 薄いボディなのに生音がしっかりしてますね。ラインの音もレンジが広くてとてもダイナミック!!
M:ありがとうございます。知り合いのミュージシャンにも評判が良いんですよ。
T:仰る通り、ネックが結構太いですけど、その方が音に芯がありますよね。
M:そうなんですよ。でも、やはり長時間弾くにはこのネックだとキツイんで、削り直すことにします(笑)

『皆川ギター工房』代表 皆川隆行さん
約2年間のクロサワ楽器さんでのアルバイトを経て、'89年に中尾貿易さんにリペアマンとして勤務。そしてその10年後に斉藤弦楽器工房さんに移り、5年程前に独立し、自身の工房を立ち上げる。「こうしないとダメです!」などとは言わない"お客様主導主義"に拘る良心的かつ凄腕のベテラン・リペアマン。『Ovation』の代理店でもある中尾貿易さんでの経験からアコギ用のPUに関しても豊富な経験と知識を持つ。
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筆者後記
今回はアコギ用ピックアップを販売・製作する側、取り付けるリペアマン側、実際に使用しているユーザー側の各々の率直な意見を掲載してみましたが、皆様はいかがな感想をお持ちになったでしょうか。
製作・販売される側の小貫さんは、誇れる自身の持ち駒を活かし、その中で最大限の解決方法を見出しています。「これが駄目ならこのやり方を」という決して諦めない姿勢。何よりも小貫さんの「何としても良い音にしてやろう」という心意気がひしひしと伝わるインタビューでした。ひとつのPUに拘らず、それで駄目なら新たなものを増設していくというところが、ユーザーさんの考え方を少々柔軟にさせてくれたかも知れません。
片や皆川さん。「サドルを造った人じゃなきゃその辺の調整が分からないようではお客さんは困るんですよ」という発言が印象的で、その辺から皆川さんの"お客様主導主義"らしさが窺える対談でした。飽くまでもお客様の意見を尊重する姿勢には、リペアに対する皆川さんの確固たる自信の裏返しが見て取れます。また、いかに優れたPUとギターであっても、取り付ける人次第でその善し悪しが決まることを改めて知らされた思いです。
そして、ユーザーさんの声。正直なところ、この企画を始めた際は「果たしてユーザーの方はアコギ用のPUにどれだけ関心があるのだろうか?」「こちらばかりが騒いでいて、ユーザーさんはそれほど関心はないのかも知れない」と考えた時もありました。しかし、こうしてアンケートを試みて、沢山の方よりご応募を頂き、やはり多くの方が様々なお悩みやご意見をお持ちということが分かりました。それがひとつの大きな成果でもありますし、この企画の本当の第一歩になったように思います。残念ながら、ご質問等に完璧にお応え出来るまでには至っておりませんが、微動ながらも着実に進歩していきたいと考えておりますので、今後とも本特集にご期待頂ければ幸いです。
最後になりますが、今回、お忙しい中、取材にご協力頂いた『Birdland』の小貫さん、『皆川ギター工房』の皆川さん、アンケートにご協力頂いたお客様には心より感謝致します。この場を借りてお礼申し上げます。
THE中古楽器屋 田部
TEL:03-5386-4565
E-mail: aco@tcgakki.com
- 第一話:A/Bボックス・ループセレクター・パラボックス編
- 第二話:歪みもの編
- 第三話:歪みもの Part 2 アンプ編
- 第四話:クールな逸品をご紹介編
- 第五話:アナログディレイ特集
- 第六話:最近の独り言..
- 第七話:ループ・ボックス編再び!
- 第八話:ちょこっとコアなペダル・エフェクター特集
- 第九話:エレハモ BIG MUFF π 特集
- 第十話:おがちゃんの"魔法の小箱"
- 第十一話:"Ibanez TS-808" vs "BOSS OD-1"


















Martin D-1
搭載していませんが、K.YairiのRYF1000DXです。
手持ちのAKG C3000Bマイクで手に邪魔にならないようホールを狙う。
L.R.Baggs Para Acoustic D.I.
RolandのJC等に直接繋いで、アンプの音をマイクで取るみたいな。
Yamaha APX-50
Crews DPA-2A
Fishman Acoustic Natural
Fishman Rare Earth Humbucking
SansAmp


