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工房直撃!!B,W&R モンスターレプリカ!

 
PART 1 序章・さっそく制作現場へ
PART 2 ホゼとの思い出
PART 3 フランケンの謎に迫る
PART 4 バナナヘッドとフロイドローズ
序章〜時代背景

 ハードロックシーンの高まりと共に、アンサンブルにおけるエレクトリックギターの役割が次第にきらびやかなものになっていった70年代後半から80年代初頭にかけて、先鋭的なギタープレイヤーのニーズを完全に充たすギターはまだなかなかありませんでした。無論それまでの音楽シーンの中枢を支えていた存在としてFenderとGibsonがありましたが、創始者レオ・フェンダーが去って久しいFenderは過去のデザインを繰り返すことに終始し、また度重なるコストダウンにより年々その質を低下させている状況でした。もう一方のGibson社も、レスポール以降の新世代型ギターという点においてはデザインに精彩を欠き、特にこの時代においては奇妙なモデルを乱発するだけに等しい存在となりつつありました。

 そんな混沌とした時代の中、エレクトリックギターの父レオ・フェンダーの遺伝子を受け継ぐに等しいと言える人物が二人登場します。ウェイン・シャーベルとグローヴァー・ジャクソンです。ウェイン・シャーベルこそ、Fenderストラトキャスターというギターが持っていた自由なスピリットを受け継ぎ、そして初めて昇華させた人物と言えるでしょう。当時のFender社がただ保守的に受け継ぐしかなかったボルトオンギターを、その利点を生かし自由にコンポーネントするという新たな次元へと進化させたのです。無論、コンポーネントという概念はエリック・クラプトンの時代からありましたが、クラプトンが目指していたのがあくまで「ストラトキャスター」であったのに対し、ウェイン・シャーベルが求めたのはより自由で先鋭的なギターでした。そしてそれにさらなる独創性を加味し、ブランドとして完成させたのがグローヴァー・ジャクソンです。こうした彼らの功績は、エレクトリックギターの進化というものに無限の可能性を指し示し、多くのデザイナーに希望を与えました。その後ジェームス・タイラーやジョン・サーなど多くの優秀なギターデザイナーが登場しますが、シャーベル/ジャクソンのデザインの影響を全く受けていない人物は一人としていないでしょう。

グローヴァー・ジャクソン氏の功績は他にもいろいろありますが、ランディー・ローズの話が長くなってしまいますので、それはまた別の機会に譲るとします。今回の主役はもちろん別。そして伝説の愛機の生まれる土壌となったウェイン・シャーベルのショップです。もともと塗装関係の仕事をしていたウェイン・シャーベルは友人らのために、ギターにペイントを施したりリフィニッシュをするなどの作業を行っていました。そんな彼の仕事は評判を呼び、多くの依頼が持ち込まれるようになります。やがて自宅のガレージを改造した作業場で本格的にそれを行うようになった頃にはFender社からの下請けの依頼も入ることもありました。そして1974年、彼はカリフォルニアに自分のリペアショップをオープンします。そこで彼は塗装やリペアの他、Fenderなどのボディーやネック、パーツなどの販売を行う傍ら、それらパーツを組み上げてギターを制作したりしていました。ウェイン・シャーベルの店は評判を集め、当時のFender社では対応しきれなくなっていた修理や改造などの依頼も寄せられました。特にプロミュージシャンからの高度なカスタマイズの依頼などは彼の店に回されることの方が多かったと言われています。例えば、当時は主流であったストラトキャスターのシングルコイル特有のノイズに悩むミュージシャンが多く、幾多の塗装技術に長けたウェインはストラトのキャビティー内に導電塗料によるシールディングを施すことでそれを軽減させることも可能でした。下請け的存在であったがためにFenderの社内で受け継がれたノウハウによらず、独自の手法を用いていたことがさらにシャーベルとしての独創性を強めていったように思われます。

 そんな彼のショップを訪れるミュージシャンの数は次第に増え、当時Deep Purpleに加入したばかりのトミー・ボーリンもその一人だったと伝えられています。今でいうところの「カスタムショップ」的存在ともいえるのでしょうか?しかし昨今のFender Custom Shopのマスタービルダーの経歴を見てもシャーベル/ジャクソン出身者が多いことから、当時の若い才能が如何にここに集まっていたか伺い知ることができます。それは60年代のロンドンでジム・マーシャルのショップにジミー・ペイジやジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリクスなどが通い、そんな匆々たる顧客たちとのコミュニケーションがやがてマーシャルを世界的なアンプブランドへと押し上げていった、そんな経緯にも似ているかも知れません。未来への無限の可能性が集結していた場所、それがシャーベルのショップだったのでしょう。そんなシャーベルショップに親しく出入りしていた若者が、ある50ドルのネックと80ドルのボディを買っていきました。彼は当時サンセット・ストリップのクラブシーンでは話題のギタープレイヤーでした。そしてそのネックとボディで組まれたギターが後に伝説を引き起こすのです。

 そしてそれからはご承知の通り。斬新で自由なペイント、新進気鋭のフロイドローズなど刻々と進化していくこのギターが世界を震撼させ、エレクトリックギターの持つ自由な発展性が後の時代に希望を与えました。「ギターはもっと自由であっていい」トラディショナルなスタイルから脱却し、ギターを自在にカスタマイズするという手法はこのモデルによって世界に根付けられたといっても過言ではないでしょう。それは固有の概念の概念にとらわれない、エレクトリックギターがエレクトリックギターとしてのアイデンティティーを確立した瞬間でもありました。今、ここに蘇るB,W&R各モデルは単なる外装のみのレプリカにあらず、そんなスピリットをこそ再現した入魂のモデルです。単なるマニアックにとどまらず、自由かつ合理的なアイデンティティーを受け継いだカスタムモデル。以下、工房取材よりそんな製作現場に込められた思いとビルダー氏のお人柄をお伝えすることができるでしょう。


さっそく製作現場にお邪魔しました!

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お邪魔しま〜す。何やら早くも面白そうなネックやらパーツやらあってワクワクですね。突然の訪問にも関わらず、私を笑顔で迎えてくれたビルダー小田桐氏。LAに渡り10年近くもギターに携わってきたという経歴とは裏腹に、時にシャイとも思えるほど穏やかで温かい方です。ベテランビルダーに良くある近付き難い雰囲気はかけらもなく、お話を始めてほんの数分足らずであっという間に打ち解けて友達同士のようになってしまいました。
 それではさっそく実物を見せて頂きながらいろいろと伺っていきましょう。まずはストラトヘッドのこのモデルから。

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photo 手に取った瞬間は、「これヤバい!何かある!」というのが第一印象でした。それは高価なヴィンテージギターを手にした時の緊張感とはまた違って、何かスリリングな気分というのか…。そんな気分を抱きつつ小田桐氏にいろいろと訊いてみました。


photo ではまず後ろのピックアップから見ていきたいんですが、これはダンカンの59とのことですね。なるほど、とも思いつつ、でもなんで?とも思うんですが(笑)

小田桐氏:「オリジナルフランケンは、 61年のGibson ES-335から外された物だというのが定説です。 しかし、年代ごとに写真を見ると違うピックアップを載せているのもあり、中にはヴィンテージの PAFと思われるのもあります。本人は PAFへのこだわりは相当強かったと思われます。ダンカン59は、オリジナルの特徴がよく出ていると思います。経年変化による枯れた感じはさすがに難しいようですが、パワーも程よく抑えられており、クリーンな感じも良いと思います。」

 小田桐氏はヴィンテージギターのバイヤーをされていたこともあって、そのあたりはお詳しいんですよね?

「私が知っている範囲ですが、オリジナル PAFはクリーンでトレブルが程よく効いたちょっと枯れた音で、彼はそれをドライヴさせたマーシャルであのサウンドを出していたと思います。」

 でも彼のPUには諸説あって、ディマジオだという話とか、古いジャクソンではないかとか、昔オジーオズボーンバンドに加入したジョー・ホームズが全部ストラトにJ-80つけてるのは誰の影響か?とかいろんな話を聞くんですが…。

「いろいろな説がありますが、私は否定も肯定もしません。彼は音に貪欲なはずなので、試すだけなら相当な数を試しているのではないでしょうか?」

 そうか…確かに。でも59ってヴィンテージ系のハムバッカーとしては代名詞のように良くで出てきますが、やはりそれだけのものなんですね。

「何故59が代名詞的存在なのか考えてみてください。ヴィンテージ系のサウンドを狙ったモデルでは当たり前のように使われているPUですが、それだけ多くのギターで使用されているということは如何にピュアでストレートな特性を持っているかという証でもあります。」

 そういえばインペリテリも59を使ってましたね。理想はPAFと言いながら。

「インペリテリも研究はかなりしていると思いますよ。ピッキングで音を作っていくタイプですし、そんなニュアンスをクリアに出すためにPAF的なトーンと、ほどほどの出力を理想とするならば、やはり59になるのかなと。」

 なるほど。そのほどほどさが難しいんですが(笑)、その辺を一番受け継いでいるのが59ということですね。ではさきほど彼はドライブさせたマーシャルであの音をと仰っていましたが、このギターでもそんな感じで?

「ええ、そんな訳でピックアップがダンカン 59なので、どんなアンプにもマッチすると思いますが、 Peaveyのアンプなら、EQのミドルを下げ、ベースとトレブルを上げ気味にし、歪みを好みに調整すると、サミー以降の音に近づけると思います。マーシャルを使うなら、ミドルを上げて ハイをロウを抑え気味身にするといい感じの音になります。歪みは、軽いほうが初期のサウンドに近いと思われますし、近年はより歪みが強くなっていると思われます。」

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>>1984 Special
>>Monster Compo /Pacer Head




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