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THE中古楽器屋 短編小説 壱

 
THE中古楽器屋 短編小説 壱
第一話「愛するベースよさようなら。」

photo タカシは悩んでいた、苦悶で表情が歪むほどに。
悩みの種は金だ。
ミュージシャンを目指して上京してから早10年、メインのバンドは解散、以前は頻繁にあった、バックバンドの仕事もここ数年は全く無い状態。
日雇いの仕事で食いつないでいた最中になんとアパートの更新が来てしまったのだ。
当然まとまった金はある訳もなく、引っ越すことも出来ない。
町金融から借りるか、臓器を売るか、、、考えれば考える程、土坪にはまって行く自分がいる。

photo頭を抱えながら眼にした先には、ベースが、そう愛機ミュージックマン、スティングレイ。
高校に通いながら、毎日しこしこバイトをしてやっと買ったベース。
現在に至るまで苦楽をともにしたパートナーだ。そうだ。ベースを売れば!、、いや、いかん、こいつは大切なパートナー、そう家族だぞ、、、、。
しかし、このままでは、浮浪者になってしまう、、、、。

何日か不毛な葛藤を繰り返した末に、たどり着いた答えが、「一旦ベースを手放そう、、、、」だった。

第二話「あてない放浪の日」

photo タカシは一旦、ベースを売ることを心に決めたものの、何処に行けば良いのかが解らなかった。金は無く雑誌を買う事もままならない。
長く東京にいる割には、知り合いも少なかった。
暇を武器に街をさまよい歩く、疲れては公園に座り込む、こんな不毛な事をひたすら繰り返していた時、バンドの練習帰りと思われるバンドマン2人の声が耳に入って来た。

photo(バンドマン1)「この間、ベース売ったんだよね」。
む、この会話は!千載一遇のチャンスとばかりにバンドマンの後を追う。
(バンドマン2)「え!あの、ずっと使ってたスティングレイ」。
何、私の持っているベースと同じではないか!。
(バンドマン1)「結構、使用感あったんだけど、意外と高く買ってくれたんだよね」。
本当か~~~!!何処だその場所は!!心の声が喉を突いて出てきそうなその時。
(バンドマン2)「何処に売ったの」。
ジャストミィ~~~~ト!!最高のタイミングだ、さあ、そこは何処なのだ、、、、、。
(バンドマン1)「チュウコガッキヤ」。
聞いた事もない言葉が返ってきた。
チュウコガッキヤ・・・・・まんまだ、、、恐らく想像するに中古を扱う楽器屋なのだろう、、、やはり考えてもそれより先には進まない。
バンドマンの背中を見送りつつ、その日はチュウコガッキヤと言うキーワードを胸に帰宅するのであった。

第三話「一筋の光」

 チュウコガッキヤのキーワードを胸に数日が経った、あての無い中、情報を得るにはやはり、インターネットしかないと思い立ったは良いが、元来、アナログ人間なタカシはパソコンの存在は知っていても、扱った事は、ほぼ無いにひとしかった。
しかし、この時代、これだけの情報を掌握するには、やはりインターネットは必要不可欠、しかも、あのバンドマンから、かすかに聞こえた”チュウコガッキヤ”の意味を知る為には、これに頼らざるえない。
区役所が無料で閲覧を許している、パソコンを使用しに重い腰を上げた。
あれ程、面倒くさい代物と思っていたパソコンであったが、区役所職員の親切な対応でインターネット検索なる行動は、いとも簡単に行える事が解った。photo
さてと、チ・ュ・ウ・コ・ガ・ッ・キ・ヤ、と入力、ずらっと文字が列ぶ中”中古楽器屋”の文字が、やはりこれだな!勝手に納得してクリック。
なんだか自分がIT系のエキスパートの様な気持ちに浸っている時、凄い数の楽器が画面一杯に飛び出してきた、こ、これが中古楽器屋なのか、多彩な楽器郡、その他コラム等も充実している、サイト検索も解りやすくアクセス方法はいとも簡単に検索できた。
さて道は開けた、プリントアウトして貰った地図を片手に、ほくそ笑むタカシであった。

第四話「オアシスに住む住人達」

 地図を頼りにスティングレイを抱え中古楽器屋へ、山手線の新大久保駅からわずか30秒で到着。
あまりのあっけなさに店頭で立ち止まる。
いざ楽器屋に入るとなると、意外に緊張するものだ。
そんな若かれし頃にも感じた記憶をかみしめつつ、店内へ。
インターネットである程度の情報はあったとは言え、あまりの楽器の多さに面食らってしまう、出足をくじかれた状態で、店員さんに声をかける事が出来ず、ただの傍観者になっていた。
いかん、違うだろ!こちらには目的もあり、言うことだって決まっている「あの、楽器売りたいのですが」たった一言だ。
何故言えない!。
そんな葛藤をしながら、うろうろしているさなか、虚を突かれ振り返った。

photo「いらっしゃいませ!」。
そう店員さんから話しかけてきたのだった。
「宜しければ、楽器をお預かりいたしますが」やさしく、微笑んでいる。
よし、このタイミングだ!。
「が・楽器!買ってくれんまいけ」、、、、うお~~~、何故ここで、なまりが出てしまうのだ~~~~。。
しどろもどろする私に店員さんは優しく「有り難う御座います!査定のお時間を少々頂きます、宜しければ、ごゆっくり店内をご覧下さいませ!」。
楽器を預かっていってくれたのであった。
赤面しながら、店内をうろうろ、15分あまりが過ぎた頃、「スティングレイ買取のお客様、大変お待たせ致しました。」と店員さんからの呼び出しの声、希望と不安に胸を躍らせつつ、歩み寄ると。photo
「大変お待たせ致しました、買取金額は○○万円になります」、、、、、なっつなに~~~!!更新も出来た挙げ句、あんな事やこんな事やむふふな事まで出来てしまうではないか~~~~!!。
即答で楽器を手放し、浮かれつつ中古楽器屋を後にした。

第五話「悪夢と再会」

 なんとかアパートの更新も済み、落ち着いた生活が戻って来た頃、相変わらず何もする事の無い自堕落な休みを過ごしていた。
ふと部屋の片隅に目を向ける、、、photoそこにあるはずのスティングレイは既に無い。
わかってはいるのだが、何度も同じ行動を繰り返してしまう。
不毛な行動をいさめようと目を閉じる、浅い眠りに落ちながら夢を見る。
"超満員の観客の中、スティングレイを抱え、圧倒的な存在感で低音を響かせる私がいる、そんな中、突然、観客がざわめき出し、私を指差している、、、はたと目を降ろすと、、、抱えていたはずのスティングレイが無い!”。
はっと目を覚ます、嫌な汗が体中を伝わって落ちる。
駄目だ無理だ!私は、一心不乱に中古楽器屋に走り出していた。
中古楽器屋に着き、ベース売り場を一望する。スティングレイ、私のスティングレイは、、、、あった、思わずベースに手を伸ばした時、
「ご試奏ですか、宜しければ椅子にかけて、ご試奏くださいませ」
店員さんが声をかけてきた。
「あ、先日はスティングレイをお売り頂きまして、有り難う御座いました、ごゆっくりご覧下さい」。
photo店員さんは易しく微笑んでくれた。
今、手にしているスティングレイを売った人間とばれている気まずさを隠しきれない私は、払拭する様にベースを弾きだした。
あれ、、、凄く弾きやすいぞ、おや、ここで音が詰るはずなのに直ってる、、、落ち着いて良く見て見ると、ボディもかなり綺麗に磨かれている。
そうだ、、このスティングレイは私の物ではないのだ。。。
喪失感を隠しきれず、惚けたまま店をでた、背中で「有り難う御座いました、又のご来店お待ち致しております。」と元気な店員さんの声が背中から聞こえる。

最終話「昇華」

photo あれ程、綺麗とは言い難い、私のスティングレイが綺麗に磨かれ、しっかりと調整されて華やかに店頭に飾られていた事。
その、スティングレイを売った人間と解っていても、嫌な顔、一つせず、試奏に応じてくれた、店員さんの事。
全てを思い返す内に気持ちが晴れやかになっていった。
あれから数年、定職に就き仕事も落ち着ついてきた、貧乏ながら、食うに困らない程の生活が出来るようになった、ある日、昔のバンド仲間から連絡があった。photo
「以前のようにプロ目指してとかじゃ無いけど、また一緒にバンドやらない!」
思いがけない一言だった。
「こんな事言っておいて、なんなんだけど、ギター売っちゃってさ、欲しいんだけど、どっか良いとこ知らない?」。
タカシ「あ、知っているよ!!」(笑い)。




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